Archive for 8 月, 2007

2007年8月号

木曜日, 8 月 9th, 2007

早いものでもう七月。今年もすでに半ばを過ぎたことになる。
その7月の最初の日、7月1日は「呉空襲」の日である。今から62年前、呉を襲ったB29爆撃機は152機、16万452発もの焼夷弾が旧呉市内、すり ばち状の地形を利用して市民の逃げ道を封じるように落とされた。そして、犠牲者が2000人にのぼったこの空襲の目標中心地点だったのが「東泉場」といわ れている。
今号の特集は、絵本「とうせんばのつやちゃん」。実際にあった話を絵本にしたものである。原作は杉山(旧姓河口)津矢子さんの広島・呉の幻の商店街「と うせんばと私」である。7月1日の呉空襲で焼き尽くされて、幻の町となった東泉場のことを書き残し、次世代に伝えたい一心で書かれた本だ。
その原作を基に、呉市在住の絵本作家横道恵子さんに絵本にして頂いたのである。横道さんは戦前を全く知らない世代だが、幸いお母さんが戦前のことを少し知る世代だったので、細かいディテールが描けたといわれた。
8月6日、広島の「原爆の日」があるように、呉にも7月1日の「呉空襲の日」があることを知ってもらえただろうか。そして「東泉場」という当時の西日本随一の市場街が呉にあったことを想像してもらえただろうか。
絵本は、子どもだけのものではなく、大人のためにもあることを知ってもらいたいのである。

8月は「夏休み」の月である。
私の子ども時代は、夏といえば「夏休み」のことだった。8月は一年の中でも一番のイベント月だったように想う。
今のように冷房がない時代だからこそ、夏の暑さとどう付き合うか、五感を駆使して汗をかいていたものだ。五感を研ぎ澄まさないと、夏を楽しめなかったのである。
五感とは、視・聴・嗅・味・触のこと。カンカン照りのグランドで、野球練習の合間のひと休みは、木々の下の濃い影。そこに風が吹抜けてくれると生き返っ た感じがした。水道の生あったかい水をガブ飲みしても、それがうまいと感じた。「氷」というノレンがかかるお好み焼屋さんで食べたカキ氷のうまかったこ と。早く食べ過ぎて頭のテッペンが痛くなったこと。夏の想い出である。
私の父方の故郷は倉橋島の尾立だった。夏休みになると、鍋桟橋までバスで行き、そこから船に乗って倉橋島の袋の内湾へ。船が着くと、桟橋の横で泳ぐ私と 同じような子ども達が恥かしそうに迎えてくれた。「都会」の呉市から田舎の尾立への旅は、とくに五感を働かせないと、その地の自然や子ども達に受け入れて もらえないので、いい意味で緊張した時を過ごした。今思い出しても、鮮明に憶えているのは、自分の中で宝物的な時間だったからかもしれない。
「五感」は夏に磨くべし、と思った。我々日本人は、今世界でも「五感」が一番鈍化している民族に入るかもしれない。五感が鈍いと第六感も感じ得ない。社会状況を読めない、ということである。この夏、一時でも冷房を切り、夜の電気を消してみませんか。
ところで、今世界各国で「目隠しレストラン」が続々誕生していること知ってますか。これこそ五感を磨くレストランであります。呉の店もイベント化してみてはどうだろう!?