Archive for 9 月, 2010

2010年10月号

月曜日, 9 月 20th, 2010


○月○日
青森県弘前、佐藤初女さんに会いにやってきた。岩木山の麓にある森のイスキアはいつ来ても、気がいい。建物の入口の横には、ザルに丁寧に並べられた梅干しが見える。初女さんの塩が効いた梅干しだ。そんな梅干し風景を目のあたりにすると、なんか気持ちがやさしくなるようだった。
久し振りに見る初女さんは、ひと回り身体が小さくなられたようだが、相変わらずお元気のようで、冬にはベルギーに“おむすび講習行脚”に行かれるという。
森のイスキアには、待ち合わせていた講談師の田辺鶴瑛さんと銀冶さんは既に来られていた。私が出版した絵本“初女さんのおむすび”を講談にする企画のために、鶴瑛さんを初女さんに紹介するためだ。
その日の森のイスキアの滞在者は、フランス人と日本女性の夫婦、獄温泉の次男坊と私たち3人、そして初女さんとスタッフ5人である。
大きな丸テーブルに初女さんの心づくしの料理が並んでいく。丸いテーブルは食事を囲む人たちのコミュニケーションをとるのにもってこいの装置のようである。次々と会話がつながっていく。
食事の後は、即席の講談の場を作り、鶴瑛さんに話をしてもらう。初めて講談を聞くという初女さんたちの反応がおもしろかった。

○月○日
岩木山の麓の朝は、酷暑の中でもさすがに爽やかだ。散歩から帰ると、これまた心づくしの朝食、そして“おむすびの講習”を初女さんから鶴瑛さんにして頂いた。丁寧に丁寧に、段取りどおり、理にかなったおむすびが出来上がる。何回見ても寸分の狂いもない掌じるしの初女さんのおむすびが目の前にあった。
初女さんから直接おむすびの講習を受ける鶴瑛さんも緊張しているが、またとない機会を楽しんでいる様子がうかがえた。

○月○日
音戸町大浦崎にある水産海洋技術センターに行き、特集「呉遺産」の取材。ここは、広島かき養殖の中心情報センターでもある。現在は、“ひとつぶかき”普及に力を注ぎたいという平田靖さんは、呉遺産としてこの“ひとつぶかき”を残したいと言われた。
センター内を案内して貰ったのだが、一番驚いたのが、戦前に特殊潜航艇基地だった船着き岸壁がそのまま残されていたこと。人間魚雷回天の訓練をしていた基地の名残りをとどめる岸壁と、現在の水産海洋技術センターの姿のギャップこそ、おもしろいと思ったのである。

○月○日
グリーンヒル郷原にある農業振興センターの田中恵さんに取材。“農”の呉遺産は、やっぱりミカンかなー、と勝手に思っていたのだが、田中さんが指定したのは“広甘藍”、キャベツ!?広が農村だった頃、この広甘藍は優秀農作物として大連まで輸出していたという。そんな広甘藍も時代の波に流されて、現在はほんのひとにぎりの農地でしか栽培されなくなり、農業振興センターでは、“広甘藍”の普及に力を入れている。甘くて柔らかい広甘藍を食べてみたい人は、11月13日に中央公園で行なわれるJA呉まつりで手に入るぞ。

○月○日
日曜日の10時30分、海上自衛隊総監部の門の前に並んだ。一般公開の日なのである。事前に申し込んで撮影すればいいのだが、自衛隊広報の手続きがちょいと面倒なことが多いので、今回は一般公開にまぎれ込んで旧鎮守府庁舎を撮影したのである。
一般公開といえども、庁舎内には入れない。自衛隊さんも一般公開をもっとスムーズに、情報サービスのことも考えて貰えればいいのに、といつも思う。情報機密云々と言われるが、もうそんな機密はあってないようなこと位分かっているはずなのに、未だに慣行どおりを通している!?時代錯誤である。
聞くところによると、イギリスのポーツマスの海軍都市は、海軍基地を大公開して観光客の呼び込みに成功して、海軍共々情報公開の有効性を国民に示して賛同を得ているという。本誌では、そんな先進国イギリス、ポーツマスの情報を流していきたい、と思っている。

○月○日
今月18日に閉店する「山作」に行く。大将の山本英俊さんは、顔の艶もよく病を持っているとは見えない。だから、ちょいと酒が過ぎてしまう。そのへんのところは、酒飲みの後輩としてはよーく分かる!?
37年の歴史にピリオドをうつ山作さん。ありがとうございました。