Archive for 10 月, 2013

2013年11月号

金曜日, 10 月 18th, 2013

◯月◯日
呉市在住の田島隆さんの漫画原作『ダンダリン・労働基準監督官』がテレビシリーズ化されて、毎週水曜日、22時から日テレ系列で放映されている。田島さんの原作がテレビ化されるのは今回で3作目。これまで常磐貴子主演の『カバチタレ!』、櫻井翔主演の『特上カバチ!!』がある。前2作は共に主人公は行政書士の卵の役だったが、今回は労働基準監督官が主役だ。〝法律モノ〟のドラマには違いないが、テレビではというより、現実の世間でもあまり知られていない職業を取り上げ、田島さんならではの語り口になっている。
その田島さんのインタビューを、 〝田島隆〟劇場として特集した。
田島さんは1968年生まれの45歳。1991年に海事代理士試験に合格。呉市に田島海事法務事務所を開業、現在まで海事代理士、行政書士として法律実務に携わってきている。と同時に、1999年より〝モーニング〟で、『カバチタレ!』の漫画原作者デビュー、現在も人気漫画誌で連載を続けている。
こうして田島さんの略歴を書き連ねると、錚々たる人物像が浮かび上がってきそうだが、実は20才過ぎまで、大変な人生を送ってきたことをインタビューで知らされたのである。子どものとき、思春期のとき、半端でない悲惨というか、哀しい経験をしてきた田島さんの生き様に、私は返すコトバがなかった。
その田島さんが語る自叙伝〝カバチ流人生指南・弱者はゴネて、あがいて、生き残れ!〟が講談社から9月に発刊されている。地元・呉で起きていたコトが語られているので、読む方は少々つらいところもあるのだが、それはそれ、田島さんの生き様から見えてくるコトが大事なのである。
〝ボクの人生も、大きな目標を持ったことなどないものだった。いや、持てなかった。ボクにとって将来を考えることは怖いことだった。ただ、日々の食事に困りたくない、他人さまに見下されたくない、自分の居場所が欲しいと、それだけを目標にしてきた。その手段が法律職の資格取得であり、漫画原作者だった。そんなボクだからこそ、この将来の見えない時代にサバイバル戦術、わらしべ長者的な生き方を勧めたいのだ〟
が、田島さんのコトバ。

◯月◯日
先月号に掲載した〝宮本常一のコトバのデザイン〟が意外にも好評だった!?厖大な文章や旅の写真を残した宮本常一は、民俗学と言う範疇を超えた足跡を残したことは知る人ぞ知る。
山口県周防大島出身の宮本常一は、中国地方が近場ということもあり、瀬戸内海の島々を何度もくまなく巡っている。その中にもちろん呉市の島々も歩いており、文章や写真も数多く残している。その中の文章を本誌で掲載したことが、親しみを持たれた一因かもしれない。
宮本常一の代表作といわれているのが〝忘れられた日本人〟だ。その中でも〝土佐源氏〟の語りは、人気の一人芝居になったほどである。この作品は、宮本常一が多少の創作をしていることは明らかにされているが、たいへん力量のある文章家としても知られる由縁となっている。その秀眉といわれる文章が宮本常一が書いたというポルノ版〝土佐源氏〟だ。私もその文章を以前から捜していたのだが、先日旅先の本屋にムック本として並んでいたのである。河出書房新社の〝道の手帖、宮本常一・旅する民俗学者〟だ。この本は私も旧版は持っているが、新刊には、増補資料〝土佐乞食のいろざんげ〟が掲載とある!?旧版と新版の違いは、この増補資料があるだけである。いやはや驚いた。読むことなどかなわないと思っていただけに、新版の編集者に拍手喝采を送りたい。
そして、早速拝読した。永井荷風作といわれている〝四畳半襖の下張り〟よりはるかに素晴らしい。これぞ超一流のポルノだと思った。しかし、ポルノなのにいやらしさが全くないのである。土佐乞食の語りは、まさに原酒、水増しで語りを広げていない。だから悲しいほど美しいー。
宮本常一のすごさを改めて知らされたのである。まさにおすすめの物語なのだが、あくまでポルノには変わりがないのでそのへんは御随意にー。

◯月◯日
今年も秋祭りが終わった。私にとっての秋祭りは亀山神社の祭りだ。神社からの太鼓の音を聞きながら昼酒をいただく。これも祭りの楽しみだ。しかし、今年は太鼓の音が聞こえない。人出も四ツ道路の参道付近が多く、境内は参拝する人の列だけで、人出のたまりがなく、なんとなく寂しい気がしたのである。
〝人祭り〟といわれた亀山大祭は、過去には10月17日に行われていた。それが体育の日に変わり、また10月第2日曜日に変わった。このへんの休日は各地でイベントが多く、呉市の総氏神の祭りに人が集まらなくなってきている。
いまだに腑に落ちないのは、どうして祭りの日を変えてしまったのだろう!?連綿と続いていた10月17日という地域の暦を、いとも簡単に変えてしまうことが理解出来ないのだ。地域の祭りには、行政があまり入りこまない前提があったのだが、今は中央の言うがままなのである。ここでも地域の一つの芯である祭りがだんだん薄まってきている。
その中でも呉特有の〝ヤブ〟は若い人に人気のようである。昔の亀山大祭には、呉中の神社のミコシとヤブが集まり、境内に上がったといわれているが、その復活をしてはどうだろう。ヤブが祭りを救うかもしれないぞ!?