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2017年3月号

火曜日, 2 月 21st, 2017

○月○日
メバルの刺身がうまい。
行きつけの居酒屋で活魚のメバルがいると、頼んで刺身にしてもらっている。メバルは小さな魚だから、刺身にできる身は少量である。また、メバルは悪いことに背ビレなどに棘があるので、三枚におろすとなると技術がいるのだ。一尾のメバルから取れる刺身はせいぜい5、6枚である。その稀少な刺身は、適度にアブラが乗り、旨味があるからたまらない。
瀬戸内海でとれる小魚では、オコゼと共に双璧の旨い魚がメバルなのである。オコゼは高価だが、メバルはそれ程でもない。しかし、メバルは何といっても鮮度が命、とくに刺身は活魚でないと身がゆるくなり、うまくない。
そんな地魚が食べられる土地に住む私たちは、本当に幸せものなのである。
思い返すと、20〜30年前までの呉の各界隈には、必ず魚屋さんがあり、朝締めの地魚の刺身が食べられたものだ。しかし、今や魚屋さんも激減してしまい、細々と営業を続けている店が殆どである。
呉地域の地魚といえば、メバル、タイ、小イワシ、アジ、タコ、アナゴ、タチウオ、オコゼ、ハゲ、ナマコ、カキ、サヨリ、白魚―。
まさに、これらの魚は瀬戸内海からの一年間にわたる贈りものなのである。
この贈りものは、地元の私たちだけで享受するのではなく、呉を訪れるソトの人たちにも食べて頂くのが筋である。
海軍さんの料理やカレーライスもいいのだが、本当のおもてなしは、呉の地でなければ食べられない刺身を中心にした料理を提供することだ。鮮度が命の小魚の刺身、観光客にとってこれが一番の御馳走だと思うのだ。おもてなし側の感性がちょっとばかりずれている、としか私には思えないのだが、どうだろう。
小魚料理は、変にこねくり回さず、〝焼く〟〝煮る〟〝揚げる〟、そして〝刺身〟。素材のよさやうまさをオーソドックスに生かすのが一番である。
間違ってもマグロやハマチの刺身を観光客には出さないで欲しい。地魚の盛り合せで呉らしさを強調することが、食で人を呼び込む一番の答えだと思うのだ。
メバルの刺身が入った〝刺身定食〟。このぜいたくさが分かる観光客を増やしたい。
映画〝この世界の片隅に〟の大ブーム、そして〝市立呉の甲子園出場〟と、呉に贈りものの風が吹いているときこそ、色々と発想を変えた取組をしていきたい。