Archive for 4 月, 2017

2017年5月号

月曜日, 4 月 24th, 2017

○月○日
春の甲子園に出場した市立呉は、大会初戦に逆転勝ち。そして2回戦、今大会準優勝校至学館と接戦を演じ、1対0で負けはしたが、〝本当にようやった〟の声が地元呉で広がった。とくにエースの池田投手のピッチングには、正直驚かせられたのである。
昨年末、秋季中国五県大会で市立呉はなんと決勝まで勝ち抜き、準優勝を飾った。ということは、ほぼ春の甲子園出場が決まった!?と呉市民がざわついていたとき、私は市立呉の中村監督に話を伺いに行った。
そのときの会話で、とくに印象に残ったコトバがこれである。
〝投手には、とにかくコントロール、緩急つける投球術を身に付けさせる。このチームをもっと成長させて、甲子園に挑みます〟
いやはや、中村監督のコトバ通り、エースは確実に成長していたのである。選手の〝伸びしろ〟を引っぱり上げた監督、〝アッパレ!〟の声が方々で上がっている。
2007年に野球部創設、10年目の今年見事甲子園出場を果たした。呉地域の高校で甲子園出場は54年振りというおまけつきの快挙でもあった。自前の野球グランドもなく、年間予算も少ない市立呉の野球部が、強豪校ひしめく広島県で勝ち上がることなどまず無理、と言われてきた。
その常識をくつがえしたのが、中村監督である。かつて〝野球市〟といわれるほど、野球熱が高く、実力も備えていた呉市は、いつのまにか生ぬるい体質の弱い野球界に成り下がっていたのだ。その状況に〝カツッ!〟を入れてくれたのである。
リーダー中村信彦さんに感謝である。

○月○日
同じように感謝したい〝監督〟が映画「この世界の片隅に」の片渕須直さんだ。昨年11月の映画封切りから6ヶ月、いまだに呉ポポロでロングラン上映が続いている。呉ポポロ上映作品史上10本の指に入る大ヒットを記録しているそうだ。いや、呉だけでなく、全国で大ヒットしたこの作品の魅力は何だろう、その理由は?!という評論も数多く取り上げられている。ヒット作品イコール質の高い作品かといえば、そうでないことが多いのだ。
「この世界の片隅に」の封切りは当初60館余りの小規模公開だった。それが今や200万人動員という大ヒット。そして、キネマ旬報作品賞、日本アカデミー賞とこれも立て続けに20余の映画賞を受賞している。
その中の授賞式でのスピーチで、片渕監督は、〝あきらめなくてよかった〟と声を震わせたという。
こうの史代さんの漫画「この世界の片隅に」の映画化を企画してから公開まで約6年。クラウドファンディングでの支援で何とか公開までこぎつけたが、実は資金難の連続だった。当初の資金は監督の持ち出しだったので、貯金残高が4万5千円になってしまったこともあったという。
何としても制作を続けた6年間のプロセスに監督の資質が見てとれるのである。映像作家としてのリーダーの資質であり、〝あきらめない〟という人格の資質だ。
先日、呉ポポロで片渕監督の何回目かの上映挨拶があった。そのときの観客に何人かインタビューしたコトバを今号に掲載している。
驚いたことにインタビューした全員が既に何回か映画を見た人ばかりだった。その中に50回見たという人がいたのである!?その人は全国の封切館を廻り、50回目の区切りを〝聖地呉ポポロ〟で迎えたというからすごい。まさに「この世界の片隅に」全国50ヶ所巡礼の旅である。
これほどの映画を〝まだ見ていない〟という呉の人たち。〝聖地呉ポポロ〟で見るチャンスは後少しですよ。
〝ゴールデンウィーク明けまでは確実に上映してます〟と言われてます。