Archive for 4 月, 2018

2018年5月号

木曜日, 4 月 19th, 2018

映画『孤狼の血』がやっと全国上映される。ちょうど1年前、呉で全編撮影された映画だ。4月から5月にかけてひと月、主演の役所広司、松坂桃李など役者陣が演技を町で繰り広げたのである。そのひと月間の町の雰囲気は、いつもの静かな町の表情とは違っていたことを思い出す。
〝中通の横丁で撮影しよったで〟
〝黄ビル前に人がいっぱいおったわ〟と、現在進行形で町の様子が耳に入ってくる。小さな祭りが、町のあちこちで立ち上がり、そして消えていった。
その映画が5月12日から呉ポポロでも封切られる。呉が舞台の映画『仁義なき戦い』を封切時にサン劇で観たことを思い出す。映画を観終わった男たちは、皆肩をいからせて、男前風に映画館を出て行ったものだ。『孤狼の血』は『仁義なき戦い』があったから生まれた作品だと、原作者の柚月裕子さんは書かれている。
その柚月さんから昨年電話をいただいたことがあった。本誌のバックナンバーを参考にしたいということで、何冊かお送りした。柚月さんの小説は『孤狼の血』で終わりではなく、小説カドカワに連載が続いており、続編の『凶犬の眼』は山口組抗争事件を基にしたフィクションになっていて、主人公の日岡刑事の活躍は続いていくのである。
また、『孤狼の血』のビジュアルブックも発刊されて、その中で役所広司さんのインタビューが興味深かった。
〝何より、呉の皆さんには申し訳ないですけど、男が怒鳴ったりするときに、こんなにも威勢よく聞こえる方言もなかなかない(笑)〟と言うように、呉弁には〝おおじょう〟したようである。何しろプロの役者だから、呉弁の台詞に対しての思いは半端ではないのだ。
〝呉弁は激しい言葉だけでなく、たとえば「ありがとう」を「ありがと」と言う、柔らかい、さらっとした言葉の中にも魅力が溢れてるんですよ〟と役所さんは私たち呉人にエールを送っている。
その役所広司さん、呉と少しばかりだが縁があることをご存知だろうか?役所さんは仲代達矢主宰の無名塾の出身だ。無名塾は仲代さんの妻、宮崎恭子さんが塾長だった。その宮崎さんの母巴さんの故郷が呉なのである。役所さんは宮崎家の人たちに可愛がられたことを恭子さんの妹、総子さんの『わが家の食卓』という本で読んだことがある。
呉と宮崎家、そして無名塾出身の役所さん、小さな縁だけどつながっていること知ってる人いるかな!?
呉に縁があるといえば『孤狼の血』のプロデューサーが呉出身の天野和人さんである。天野さんは、東映で『極道の妻たち』シリーズなど数多くのプロデュースを手掛けている。呉でオールロケということで、天野さんは、故郷の土地鑑を生かした昭和の風景を設定したはずである。
呉に住む私たちだけに分かる場所が、昭和の風景として展開する映画『孤狼の血』を早く観たい。