Archive for 12 月, 2018

2019年1月号

木曜日, 12 月 20th, 2018

○月○日
平成31年4月で〝平成〟の年号が終わる。平成の時代は約30年。月刊くれえばんの創刊は昭和62年だから、平成時代はずうっと発行し続けたことになる。
今号で382号、こんなに長く続くとは思ってもみなかった。〝困った困ったコマドリシマイ〟と誰かが言っていた。
平成元年(1989年)最初の号である2月号を開いてみた。特集は「くれ路上観察倶楽部誕生」と「新成人ファイル」。路上観察として、〝塩の道〟の古道、仁方から広の塩焼までを読者と歩いた記事には、昨年亡くなられた名水博士の佐々木健さんが道案内役として登場している。
また、「街のアリバイ」には〝昭和の1ページ〟と題して、昭和64年1月7日の天皇陛下崩御の記事と共に、昭和22年12月に呉に巡幸された3枚の写真が掲載されている。
「新成人ファイル」には、本誌の表紙モデルをした4人が着物姿で写っていた。ああ懐かしい。いやはや、彼女達はなんと50才になったということかー!?
やはり30年という歳月は長く、遠い想い出の印刷物、くれえばんだけが残ったということか。
最近BSテレビで、昔のテレビドラマの再放送をやっている。その中で、1970年のドラマに「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」を見た。向田邦子脚本、演出久世光彦コンビの連続ドラマだ。今年亡くなった樹木希林さんが両方に出演して人気を博した。ドラマで興味深かったのが、1シーンだけのゲストとして出演する人たち。呉出身の作家田中小実昌さんが両方のドラマに出て、笑いをとる役をやっていたからおもしろい。
また、藤田まことの「新・必殺仕置人」シリーズに、なんと呉出身の野球選手、ミスタータイガースと呼ばれた藤村富美男さんがレギュラーで出演している。仕置人の元締役で、髷も似合う堂々とした演技で驚くのである。
いやー、昔のドラマのおもしろいことー。今のテレビドラマと比べると、昔の方が遊び心に満ちて、自由闊達、役者の魅力が伝わってくる。
「沢村貞子」を知ってるだろうか。女優であり、エッセイストとして有名だった人だ。沢村さんは明治41年に生まれ、大正、昭和を経て、平成8年まで生きた。
エッセイストとしての著作は数多く、日本エッセイスト・クラブ賞も受賞している。中でもふだんの暮らしを〝食〟から見直すエッセイの人気が高かった。
新年号の特集に「沢村貞子」を取り上げたのは、いまの時代、自分の体や心は自分で守ること、誰も助けてはくれないと肝に銘じ、〝食〟さえ大事にして生活すれば、何とか楽しく暮らせると思うからである。
沢村さんの献立日記を参考にして、料理を作ってみた。沢村さんの得意料理〝煮豆〟だ。私はこういう煮もの料理は初めてである。沢村さんのレシピ通り、二日がかりの料理だ。煮豆をつつきながらの気長な料理だ。出来上がった煮豆は、写真でレシピとともに掲載した。
煮豆を食べながらつくづく思ったことは、和食は色あせない、未来の〝食〟そのものということ。
沢村さんのエッセイの多数は、文庫本として今も刊行が続いている。「沢村貞子の献立日記」は30年近く亡くなるまで続いた。
平成が終わる年に向けて、
「温故知新ー孔子」
「バックミラーを通して未来に向かうーマクルーハン」
「『いき』であるとは眼に過去の潤いをもつことだー九鬼周造」
「過去は前方にあり、未来は後方にあるー」