2017年11月号

○月○日
今月号に掲載したニュージーランドで見つかった古い写真。それを見たとき、すぐに「戦争花嫁」としてニュージーランドにわたった呉の人を思い出した。太平洋戦争、沖縄戦で不朽の電文を残して有名な大田中将、その遺児である4女アキコさんのことだ。
早速、大田中将一家のことが書かれている本に掲載されている写真を確認した。庭に立つ和装の男性は大田中将ではないようだ。もう一枚に写る幼児は、3男の畯さんに似ている!?
アキコさんは、現在もニュージーランドのウェリントン在住と聞いている。アンティークの日本の裁縫箱が購入されたのはクライストチャーチだという。古い裁縫箱に残された白黒写真は撮られてからすでに70年以上経っているのである。
ニュージーランドの女性が〝写真を返すため、ご家族捜しを手伝って下さい〟とツイッターに投稿して、話題になり、そのリツイートは4万件を超えている。
70年の時を超えて、現れた写真の主を捜し当てること自体が物語になりそうだ。

○月○日
呉市美術館の「無言館・遺された絵画展」に行く。長野県上田市にある戦没画学生慰霊美術館「無言館」開館20周年記念の巡回展だ。ずうっと見に行きたかった美術館だったが、その巡回展が呉に来たのである。
戦争で志半ばで亡くなった画学生は召集が決まると、一晩のうちに自画像を描き上げ、「写真ではなく、これを遺影に」と言い残した。
やはり自画像の絵はインパクトがあった。描いた本人の目についつい引き込まれるのである。また、各々の絵の横にその人の写真と短い人生のプロフィールが書かれている。最後にどこで、どういう死に方をしたのか記されている。
無言館の建設は、早世した画家の絵を収めた「信濃デッサン館」を創った作家の窪島誠一郎さんが、画家の野見山暁治さんと出会ったことがきっかけといわれる。「戦死した仲間の絵を残したい」という野見山さんと二人で絵の収集を始めた。そして、開館して20年、所蔵品は増え、現在は約130人の絵700点が集まっているという。
「彼らの描く絵はことごとく静寂につつまれている。この静寂を無言と解釈することは簡単です。しかし、無言ということからいえば、無言のままでたちすくむしかないのは、今を生きる我々のほうではないでしょうか」と、窪島さんは言われている。
のほほんと生きている私自身をこれらの無言館の絵が見据えている気がしたのである。
○月○日
呉市長選の立候補者の討論会を本誌に掲載する準備をしていた矢先、まさかの衆議院解散が起きた。野党のしくじりや小池新党の準備不足に乗じての安倍首相の解散劇だ。
急遽決まった衆院選の影響で、呉市長選の立候補予定者は活動の見直しを迫られている!?公選法により、衆院選と広島県知事選(10月26日告示)の期間中、呉市長選の立候補予定者の各陣営は、街頭演説などの政治活動が制限されることになり、この追い込み時期に!?と困惑しているという。
しかし、中でも自民党推薦を受けた現職市長は事情が異なる。衆院選広島5区に立候補する自民党前職の応援演説には立つことができるのだ。市長選に触れなければ、現職としてのこれまでの取り組みや町の現状のことを話すことができる。市長選に触れなければ、というが11月12日選挙のことは衆知されているのだから、これで現職市長は〝棚からボタ餅〟有利この上ない。
今号に掲載した10月4日の市長選立候補者討論会は、思った以上に興味深く候補者の言葉を聞いた。
いいことばかりの〝これをやります。あれもやります〟という公約は何か聞く者の心に届かない。それより何より、これからの右肩下がりの社会状況の中で、私たちがどれほどの自治負担をおうのか、そのへんのことを選挙戦でキレイごとでない言葉を聞きたいと思ったのだ。

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