2018年12月号

○月○日
日本シリーズで広島カープが負けてしまった。セリーグ優勝三連覇のカープでも、やはりパリーグのソフトバンクには歯が立たなかったということである。
私も予想はしていたが、やはり駄目だったかと、落胆しながらも、カープの戦力を自分なりに整理してコトバにしようとしていたときだ。
中国新聞紙上に、〝結局、新井は凄かった〟という一面広告が掲載された。一面カープ色の赤、中央の上部に新井選手のイラスト、その下に〝結局、新井は凄かった〟という文字。そして、右下に黒田さんの自筆サインが小さく書かれているだけの一面、これって広告?
黒田博樹さんの新井選手の引退へのエール広告だった。裏面を見ると、新井選手のこれまでの活躍の歴史というより、〝カープの駄目な場面に新井あり〟とちょっと笑ってしまうような記事が編集されている。そうして、また赤い一面ページを戻ると、そこには黒田さんの新井選手への想いが見る者に伝わってくるのである。
カープの日本シリーズでのあっさりとした負けっぷりに、〝負けた日が新井選手の引退の日だ〟ということがマスコミもファンにも薄まっていたときだった。
このど派手な黒田広告を見た新井選手は、感想を聞かれて、〝結局、黒田は凄かった〟と返したというから洒落が分かる二人の絆が見えてくるのだ。
この何年間の広島カープの人気は、異常といっていいぐらい凄いものがある。観客動員やグッズ販売、テレビ放映など、広島だけではなく全国区の人気ぶりだ。
この凄いカープ人気を作ったのが、黒田、新井選手のカープへの復帰劇である。二人それぞれの物語が、ファンの心を掴んだからである。
力が衰えても、真摯に野球に取り組む姿に、ファンはもちろん、カープナインにも二人の姿勢が伝染していった。そのチームの姿を見て、またファンは熱くなり、まさにカープブームが立ち上がった。
この二人がカープに帰ってきたからこそ、25年振りのセリーグ制覇に結びついたのだ。そして、ここのところが一番の肝なのだが、カープの試合の内容というか、展開が他チームと比べてダントツにおもしろいということだ。とくにマツダスタジアムでの〝逆転劇のカープ〟試合は、グランドと観客席が相まってまさにエキサイティング、エンタテイメントの場になるからさらに盛り上がる。野球の試合は、筋書きのないドラマだから、登場人物は同じでも、一つとして同じドラマは起きないのだ。〝逆転劇のカープ〟の物語にファンは魅せられ、裏切られても、またそこにも魅せられる。ピッチャー陣に弱味があるからこそ、カープの試合がおもしろいのである!?
話は最初に戻るが、かつてないカープ人気を支えるファンは、今こそ今回の〝黒田・新井選手広告〟の意味を受けとめたい。
広島には、ファンの数だけ〝カープ評論カントク〟がいるそうだ!?
〝好きなくせに誉めることを知らないカントク〟
〝監督采配を常にけなすカントク〟
〝堂林選手が出ると、あーあとため息をつくカントク〟
〝この敗戦は私の責任です、とコメントする監督に、じゃあ、どういう責任を取るんだ、とツッコミを入れるカントク〟
そんなこんな、カープファンや球団にひとこと〝結局、新井は凄かった〟と言いたかった黒田さんのスジを感じたい。
それにしても、〝カープ元気晴朗なれど呉の町の人出なし〟とはいかがなものかー。

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