2016年1月号

○月○日
サンフレッチェ広島がJ1優勝を決めた。2年振り、3度目の栄冠である。それにしてもチャンピオンシップの準決勝と決勝2戦は見る者に感動を与える素晴らしい試合だった。決勝第2戦の広島地区のテレビ視聴率は、優勝瞬間時41.7%だったという。スゴイ数字である。〝広島の皆さん、優勝おめでとうございます!〟。森保監督の絶叫がスタジアムに響いたシーンに、また感動させられたのである。〝おめでとう〟と言いたいのはテレビを見ている私たちから、サンフレッチェを率いた代表の森保監督にである。それを逆に広島県民に先手を打った森保監督の思いには中々のものがあったのである。そもそも、サンフレッチェ広島は地方の一クラブであり、乏しい資金でのやりくりの歴史が続いている。そんな中で、毎年のように主力の退団も続いた。なにか、広島カープを見ているようなのである。クラブチームが安定した成績を残すには、安定した観客収入とスポンサーが不可欠である。一番の問題だったのは広島市郊外にあるスタジアムのことだった。エディオンスタジアムは元々アジア大会のメインスタジアムとして造られたもので、サッカー専用のスタジアムではない。だから、選手のパフォーマンスで観客と一体になる臨場感がどうやっても薄いものだった。また、完成して23年のスタジアムは老朽化も進んでいる。サッカー専用のスタジアムが広島に必要だったのである。私は、広島市の真ん中にあった市民球場が壊されたとき、すぐに思ったことはサッカー専用スタジアムを造ればいいということ。町の中を歩いて行けるスタジアムこそ最高の立地であり、中心商店街への波及効果も大きいことである、そして何より大事なのは、地元意識の求心力の高まりだ。〝広島にはカープがあるからいいじゃないか〟と言う人がいる。広島財政界のお年寄りに特に多いから、問題なのである。サッカーと野球というスポーツのことを考えてみるべきである。日本ではプロ野球や高校野球が人気だということは承知のこと。また、サッカーもJ1、高校サッカーと人気である。観客動員でいうと、野球がサッカーより多い。これは試合数が多いことによるが、選手の年俸を比べると野球が断然高く、日本でのスポーツ界の王者は今のところ野球ということになるだろう。しかし、世界のスポーツ界となれば、ダントツ、サッカーなのである。〝オリンピック〟より〝ワールドカップ〟の方がスポンサーでも観客拿も段違いの人気である。そのサッカー、Jリーグ優勝を4年間で3度果たしたサンフレッチェは、地方都市広島の宝であり誇りである。〝サッカーの力〟を地方都市広島に見せつけるためには、市民球場跡地に専用スタジアムを造ること。これこそ、広島経済にも県民の心にも潤いを与えることになるのである。もし、カープの黒田投手のような、物語のあるスター選手がサンフレッチェにいれば、観客動員も黙っていても増えることだろう。そのチャンスを作る第一歩、新スタジアム建設の決定は今しかないようである。本誌創刊時の30年前、札幌、仙台、広島、福岡の4都市の活性化が地方の自立を占うといわれ、記事にしたことがある。そして現在、4都市のうち一番弱いといわれていた福岡がダントツ活性化して上位、上位だった広島は下位に落ちたまま―。行政、財界、市民の選んだ道が先を読めなかったことには間違いない。何しろことの決定にスピードがない。この様々なことのスピードの遅れが都市間競争に負けるべくして負けてしまっている。多様な町を目ざさせない広島市の脱皮は、スタジアム建設にかかっている。

スタジアムではないが、いま呉市で一番目立つ建物は呉市役所の新庁舎である。新庁舎である。新庁舎建設まで、スッタモンダがあったが、あっという間に立派な建物が出来上がった。まだ外観しか分からないが、本当に立派なデザインの新庁舎だ。呉の中心地では、どこからも新庁舎の姿が見える。呉市のランドマークの建物になっている。「地方消滅」といわれる中で、「地方創生」と行政は意気込む。その空気の中でのハコモノ呉市新庁舎が完成した。同じハコモノの広島のサッカー専用スタジアム建設問題、どう解くのか私たち市民にかかっている。